『本屋会議』ができました(夏葉社・島田)。

 

 

12月12日の「町には本屋さんが必要です会議シンポジウム」、

そして、『本屋会議』の刊行をもって、1年にわたる「町本会」の活動が終了しました。

多くの人々の支えと協力があって、なんとか、活動をすることができました。

出演してくださった方々、会場に来てくださった方々、お会いしたときや、

メールやツイッターなどであたたかい言葉をくださった方々。

この場を借りて、みなさまに、あらためてお礼を申し上げたく思います。

本当に、ありがとうございました。

 

自分が好きな「町の本屋さん」がいつまでもあってほしい。

そのヒントを1年かけて、町の住人のひとりとして、模索してきたつもりですが、

積み残した問題は、まだ山のようにあります。

 「違う」

「そんな甘いもんじゃない」

とずっといわれているような気がしながら、会議を続けてきました。

本音をいうと、胃が痛い日々でした。

 

ぼくが多くの時間と交通費をかけて「町本会」をやり続けた理由は、とても単純で、

やっぱり、ぼくは、「町の本屋さん」に恩を感じているからです。

町に本屋さんがあって、ぼくは本が好きになりました。

町に本屋さんがなければ、ぼくはこんな仕事をしていなかったし、

もっといえば、ぼくの生活はもっと暗いものだったように思います。

本に救われたというよりも、本屋さんに救われた、というのがぼくの実感です。

子どもたちにも、そうした場所があってほしい、と願っています。

 

けれど、「本屋さんでもっと本を買いましょう」といった、ひとつのスローガンに

集約されてしまうことには、すこし抵抗を感じます。

ぼくは、ある時期まで、そのような気持ちで本屋さんと接していましたが、

「なにか一冊本を買わなくちゃ」という思いで立ち入る「町の本屋さん」は、

すくなくとも、楽しい場所にはなりません。

 

10年も、20年も、50年も、自分の住む町に、自分の好きな本屋さんがあるために、

もっともっと考えることや、やれることがあるように思います。

それは、業界の人間としてではなく、ひとりの町の住人として、です。

漠然と、「本」全般を、「本屋さん」全般を、考えるのではなく、

自分の好きな「一冊の本」のこと、「一軒の本屋さん」のことを考えることのほうが、

より具体的な未来です。

『本屋会議』は、その考えるためのヒントを、可能な限りたくさん詰め込んだ本だと思っています。

 ひとりでも多くの方が読んでくれることを、願っています。